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虫について考える [生ゴミコンポスト]

コンポストの中にいたウジちゃんは、実はハエではなく、コウカアブもしくはアメリカミズアブというアブの幼虫だったことが判明した。コンポストには蓋がしてあるので、大きなハエやらは中に入れないはずなのに何故?と思っていたら、親はコンポストの近くに卵を産んで、孵化した幼虫が中に這って入るらしいのだ。なんとも巧妙。でもコウカアブもアメリカミズアブも成虫は人を刺すでもなく、ハエのように病原菌を媒介するわけでもなく、人にとっては無害な昆虫らしい。イエバエがわが家から大発生するのは避けたかったが、それを知ってだいぶ気が楽になった。いずれにしても、見た目が気持ちのいいものではないけれど…。

どんな虫のウジであっても、一般にはウジというだけで人に嫌われる。私だって例外ではない。何故なんだろうと考えたりする。私がまだ子どもだったころ、日本はもっとワイルドな国で、ハエやらそこら中にたくさん跳び回っていて、なんか汚らしいところにウジが湧いてた記憶があって、そういうネガティブなイメージと結びついてウジを毛嫌いしてしまうのかなぁと思ったりする。

では、そんな光景を目にしたことのない人ならウジも平気なのか? とは考えにくいなぁ…。もともと人間には、小さな生き物がいっぱいうじゃうじゃと集まって動いているのを生理的に嫌う本能的なものがあるような気もする。

でもそういう本能も、その後の経験によって克服できることもある。

例えばイタリアのあるチーズは、わざとハエに卵を産ませてウジを湧かせ、その生きたウジごと食するのを良しとするらしい。普通の感覚だと、そんなのが食べられること自体信じられないことだけど、そのチーズを珍重する人は、それが体に害がなく、それどころか味のよいのを経験的に知ってウジが平気になるのだろう。

その他にも医療の分野では、マゴット(ウジ虫)セラピーといって、体の壊死した部分をウジに食べさせて治療する方法とかある。その治療を受ける人にとっては、そのウジ虫は嫌悪する存在ではなく、感謝すべき恩人だ。

要するにウジもケースバイケースで役に立つこともある。というか、コンポストに湧いたアブの幼虫も、生ゴミを食べて分解して堆肥に変える手伝いをしているわけで、とくに見た目の気持ち悪さ以外には何の害も及ぼしていないし、逆に役に立っているともいえる。ハエのウジの場合は、成虫になって病原菌を人間に媒介するというマイナス面があるが、やはり人間の出した生ゴミや動物の死体を分解して土に還すという大事な役割も担っている。たぶん、この世からウジがいなくなったら、人間が困ることの方がずっと多いだろう。

常識的に害虫ととらえられている虫でも、他の生き物とのかかわりのなかで、間接的に人間にとって益虫になる虫は多いと思う。

たとえば、ムカデ。私も先日まで、とにかく刺されるのが怖いので、見かけたら強迫観念のように息の根が止まるまで潰して殺していたが、実はお庭ではナメクジやヨトウムシを食べてくれたり、ありがたいことをしてくれているらしい。それにムカデも好きで人間を刺すわけじゃなく、人間の方が不用意に触れたりした結果、自己防衛のために刺さざるを得ないだけなのだ。間違って家に入ってきたムカデは、殺さずに火バサミでつまんで庭にもどせばいいだけのこと。…というのはこちらの本で教わったこと。

虫といっしょに庭づくり―オーガニック・ガーデン・ハンドブック虫といっしょに庭づくり―オーガニック・ガーデン・ハンドブック
ひきちガーデンサービス

築地書館 2008-04-08



著者は植木屋さんで昆虫の専門家というわけではないが、それだけに一般人にも分かりやすい解説で親しみやすい。身近で見かける虫たちの写真がいっぱいでちょっとうれしくなる。家庭菜園にも役に立つ知恵が書かれていて、よい本だと思う。

言うまでもないことだけど、どんな虫でも地球上に存在する以上、同じく地球で暮らす人間の生活と深くかかわっている。虫や他の生き物たちとの微妙なバランスの中で、初めて人間が健やかに生きていける環境が整うのだと思う。そう考えると、人間にとって100%の害虫というのはこの世に存在しない。なのに、その虫のことをよく知りもせず、その行いの一面だけを見て、農薬や殺虫剤を使って一斉駆除しようとするのは、結局自分で自分の首を絞めるようなものだろう。最近の農薬は進化していて人間に対する毒性もずいぶん減っているらしいが、そういう直接的な害よりむしろその農薬が虫を大量に殺戮してバランスをくずしてしまうことの方が私は怖い。

実はコンポストのウジの中にはしぶとく生き残っていたのも少しいた。すごい生命力。いずれアブになって飛び出すかもしれないが、そう多くはなさそうなのでもう見逃そうと思う。あとはまた卵が産み付けられていないか、箱の周囲をこまめにチェック! 相手を知れば対処法もひとつではなくなる。そうやってアブのウジちゃんたちと関わり、生態を知っていく間に、最初の嫌悪感がかなり薄らいでいるのに気がつくのだった。さすがにペットとして飼おうとは思わないけどね。

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